さいたま市民レポート
  3 《発行日:2002年8月29日》

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議会改革宣言! その1:本来の役割と問題の所在
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 「高い給料をもらってろくなことをしていない」――。議員に対しての不信感を明らかにした住民の言葉です。国会での不祥事の連続については、いまさら言うまでも無いでしょう。私自身が議員であったときの経験やその反省も含め、議会の抱える問題点は何か、また議会改革はどんな方向で進めていくべきなのかを今号と次号とで述べていきます。長編になりますが、保存していただき、来年4月の選挙の際に利用するなど、議会の話題が出るたびに活用していただければと思います。

●●なぜ議会改革か

 1990年代、日本は地方分権の流れに踏み出し、2000年4月には、第1段階の成果としての「地方分権一括法」の成立により、機関委任事務制度が廃止され、国と地方の関係が大きく転換されていくことになりました。
 分権の先には「自治」があります。自治とは「自ら治める」もので、政策決定を下す政治主体の転換を意味しています。
 これまで日本社会は、国も地方も行政主導で政策決定が行なわれてきましたが、その体制が限界を迎えています。いかに早く行政主導から市民主導の政策主体に転換できるか、つまり「官権から民権へ」の転換がなされるのかが、私たちの社会が持続可能となるかどうかの分水嶺であり、自治体の意思決定機関である議会の改革は、この点から大きな意味を持つことになるのです。

●●議会の本来予定されている役割

 ともすれば議員とお金の問題に目が行きがちですが、本質的な問題は、「住民と議会の関係」「行政と議会の関係」にあると考えています。これが改善されれば、お金の問題は当然解決すると思われます。

■地方自治体の仕組み

   議会(意思決定)----→----→---→--→ 市長(事業執行)
     ↓     予算・条例・基本構想等   ↓
     ↓選                      ↓選
     ↓挙                      ↓挙
     ↓                       ↓
   □□□□□□□□□住       民□□□□□□□□□□


 そもそも住民が行政をコントロールするために、便宜的に設けた機関が「議会」です。議会が予定されている役割のうち、主なものは以下の通りです。

@住民の代表機構として、住民の声を届け市政に反映させるとともに、リアルタイムで市政の情報を提供し、共有化に努める。
A「条例」(自治体の法律)「予算」「基本構想」(総合的計画)を審議・議決し、市政をコントロールする。
B行政機構の執行状況やシステムのチェック(監視)・評価を行なう。
以上は、どんな政策目標を掲げている議員であっても例外はありません。政策はこうした基本的役割の先にあるものなのです。

●●議会の問題の所在

 議会の問題点は、簡単に言えば、既に述べた「議会の本来の役割をきちんと果たしていない」という点にあります。具体的な議会の改革策は次号で明らかにしますが、今号では問題点をいくつか提示したいと思います。

@住民の代表機構としてのシステムが不備である。

→住民と一口に言っても、高齢者・未成年・在日外国人等々、様々な層がいます。ところが議員を選挙する権利があるのは「20歳を超えた日本国籍を有する者」(有権者)のみです。20歳を超えた人たちは選挙で意思表示できますが、それ以外の人たちは議会への接点すらありません。
 また、市長から議会に提供された情報は「住民へ提供した」ことになっています。ところが皆さんは、ほとんど知らされていないと感じているでしょう。議員に近い人だけが限定された情報を得ることができるのが現状なのです。
議会は、すべての住民の代表機関として自ら認識し、そのための努力をしているでしょうか。残念ながら実態は一部の住民の代表機関であり、選挙の時のみ住民に耳を傾けるというのが、大方の住民の評価となっています。

A意思決定するための整備がなされていない。

→議会は自治体の「意思決定機関」です。議会で議決された件はすべて、住民の総意として公の扱いとなります。
議会は「条例」(法律の自治体版)「予算」「基本構想」(総合的体系的な計画)の議決を法律で行なうことが義務付けられているなど、重要な課題を決定しています。
しかし、会議規則やこれまでの事例を細かく見てみると、議会が独自に意思決定しにくい状況となっています。これまで行政に依存してきた議会の性格が現れています。

B住民の不信感を払拭する努力が行なわれていない。

→不信感の払拭の有効方法は、「情報公開」の徹底に尽きます。現在さいたま市の議員は、年間1000万円以上の収入を得ています。額については広報などで公開されるようになりましたが、第2報酬といわれる「政務調査費」の領収書添付や、「議長交際費」の公開、「費用弁償」「ボーナスの加算措置」の根拠など、住民にきちんと説明する必要があります。
 また、「行政視察」については先進事例を学ぶために有効に活用されてるようですが、住民に共有されていません。

大まかな課題は以上ですが、私が実際に経験したエピソードを、以下に3つ紹介します。

【エピソード 1】「先生」と呼ばれて…

 私が議員となって最初に違和感を感じたのは、「土井先生」と呼ばれたことでした。これを言った職員は、私の父親と同世代の職員。そのような人に先生と呼ばれることに、違和感を感じるのは当然でしょう。議会に入ってすぐで右も左もわからない私にとって、むしろ職員の方々を先生にしていろいろ学ばねばならないと思っていた矢先の出来事でした。年配の議員で「先生」と呼ばれないと機嫌を損ねるセンセイがいることがそうさせるのだそうですが、職員の方々も、気の毒であると感じました。
 
【エピソード 2】お歳暮の拒否

 ある日、宅配便のお兄さんが持ってきたお歳暮の差出人を見たら、ある行政機関の名が…。税金で支出されたものであると思い、持ち帰ってもらいました。ちなみに、次の年は送られてきませんでした。
 民間からも、カレンダーが届いたことがありました。こちらは返却するのではなく、1500円を出して、購入する形をとりました。
 私は、以上の2つの行為を「議員懐柔策」であると位置づけています。「これを受けてしまったら議員の独立性を失なってしまい、住民に期待されている仕事ができなくなる」と考え、特に神経を使いました。議員はこうした物品の授与に最大限の注意を払わねばなりません。

【エピソード 3】「質問文にフリガナを…」

 議会において、「一般質問」は行政に対する議会の正当な権限であり、行政監視の傍有効な手段の一つです。質問に対し、行政職員は誠実に答えなければならない義務を負っています。質問文は当然議員が自らの政治信条に従い、練り上げるものですが、中には質問文を行政職員に用意してもらう議員もいるのです。つまり答える人が質問文を書くわけですから「デキレース」ということになります。
 浦和市議会でのこと。行政に近い立場の議員が質問文を読み上げましたが、中に前後の文脈からして意味不明の言葉がありました。周りの議員も不思議そうな顔。そのうち質問者と同会派の議員から次のようなヤジが飛びました。「ちゃんとフリガナ振っておけよー」。
 そうです。つまりその議員が自分で作った質問文章ではなかったのです。

 さて、次号では、いよいよ私の考える議会改革の方向性や具体的な改革案を提示します。ご期待ください。

--------------------------------------◆◆◆ぜひ、ご参加ください◆◆◆
●土井裕之のオープン会議
日 時■ 2002年9月29日(日) 15時〜17時
場 所■ 埼玉会館
テーマ■小中学校区のまちづくり―宝塚市

 土井がレポーターをつとめている学習会で、さいたま市政や先進事例について学びます。8月は横浜・川崎などを中心に行政区の活用について先進事例を見たうえで、将来は自治の機能を区が得られるよう運動をしていく必要がある旨、話し合いました。
次回は、小学校区でまちづくりを進める宝塚市の例を見ながら、近隣政府のあり方を議論したいと思います。

●地方自治を考える会
日 時■ 2002年9月20日(金) 10時〜12時 
場 所■ プラザ・イースト
テーマ■ゴミ問題の現状と課題を聞く

 各地の先進事例やさいたま市の行政・議会運営について学習します。初心者向けで月に一回開催。主に主婦の方々が参加しています。
7月は、保険料の本格的な徴収が始まった介護保険制度についてさいたま市・浦和行政センター職員に話を聞きました。
次回は、廃棄物政策課の職員を招き、ゴミ問題の現状と課題を聞きたいと考えています。

-----------------------------------------------------●編集後記
●先日参加した自治研セミナーでは「犯罪被害者支援の現状と課題」がテーマ。そこでは犯罪に遭った被害者や家族を殺された遺族が、医療費や遺体の搬送費を自己負担しなければならない理不尽な現状がありました。こうした理不尽なことは、社会が解決しなければならないことだと思います。
●先日、高校時代の友人から突然の電話をもらいました。一人は医院長、一人は店長をやっているそうです。同級生なのに大変なポストについているんだなあ、と感心しています。今度会うことになっていますが、今から楽しみにしています。
●皆さん「住基ネット」についてはどう思われますか?

▼駅立ちの予定▼
毎週火曜日 朝7時〜8時 武蔵浦和駅東側(状況によって西側も)
毎週金曜日 朝7時〜8時 南浦和駅西口
※暑い中、ご通勤・ご通学ご苦労様です。毎週『さいたま市民レポート』を配付しております。読んだ感想や政治に対するご意見などありましたら、気軽にお声掛けしてください。