• 「猫の手貸します」

あるお世話になっている方からFAXが入った。
いつもの内容と異なり、
大きな、そして切迫したことが記されていた。
要約すると以下の通りだった。
相談に来たある女性から、「小さな事件を解決する余裕があるなら、今の国政を変える知恵を出して欲しい」と言われた。常々考えていた財政再建策を野田さんにぶつけることができないか(改革案は省略)。選挙民目当ての目標なきなし崩しの政治、解散が行われるのが一番まずい。既成政党にリーダーシップがないからといって、市民の欲求不満を追い風にして橋下新党が選挙で強い勢力を持つことになるのは、非常に不気味だ。待ったなしの国政の方向はなんとかならないものだろうか…
こんな内容だった。
これに対し、私は以下のような返答をお送りした。
今の私の心中を記しているのでご参照頂きたい。
  ★  ★  ★
○○様
ご無沙汰しています。
以前頂いたFAXについて、
返答とまではいきませんが、
私なりの考えを記します。
まず冒頭に、
お考えに大変共感するところです。
私は、政治の中に席を置く身です。
少し時間をかけてじっくり考えさせていただきました。
野田内閣、自民党ともに、
3党合意などを経て、消費税増税の決定。
もはや引き返すことのできないところまで行ってしまいました。
その後の両党内のゴタゴタは、
もはや祭りの喧嘩より情けない。
現在の状況から見て、
おそらく次の党首が決定されてから
すぐの衆議院選挙は実施されない模様です。
来年の、遅ければ衆参同日選挙も考えられます。
私はこの時間こそ、
日本国民が今後の進路を熟慮する貴重な時期だと思います。
なにせ歴史的な転換の方向性に
大きな影響を与えうる重い一票ですから。
私は○○さんのように寛容ではないので、
野田さんへの期待はもはやありません。
消費税の順序を逸脱した増税の率と時期の決定は、
もはやどの角度から見ても、納得できない点です。
秀征先生の言葉を借りれば、
「国民に痛みをもたらす」決定を
自分たちの痛みや官僚の痛みの前にやってしまった。
肝心の社会保障も後回し。
野田さんは政治生命をかける方向を
間違ったように思います。
消費税増税がやむを得なければ、
正しい順序で国民を説得し、
選挙で堂々と信を問い、進んでいくべきです。
以前のような水面下政治は
もはや成り立たないのです。
国民を信頼しない政治が、
安定するはずはありません。
いずれにしても、
いかに政治が劣化しているか、
思い知らされた次第です。
こうした状況への国政への嘆きの声は、
私の周辺でも数多く聞かれます。
90歳を超えた私の祖母までが!
これまで政治には関心がなかったのに。
もはや誰もが政治の劣化を感じています。
ただこの現象、
冷静に見ると2つの視点から読み解くことができます。
一つは、もちろん政治サイドの劣化。
2大政党はおろか、維新の会も含め、
現職、候補予定者、もう皆が次の選挙の思惑ばかりです。
どうみても、まともではありません。
本気で国政の改革に挑もうという勢力はないのか。
この間の国会議員の、
選挙目当ての「もの欲しげ」な姿勢ほど、
見苦しいものはありません。
この点を回避したいという思いは、
○○さんと同じです。
ただもう一つ。
私はこれがあるから楽観しているのですが、
国民の意識がかなり成熟していること。
成熟している国民に見合った政治が実現していない。
そのギャップが国民与論の嘆きとして
各所で露呈しているのではないでしょうか。
ギリシャ国民とは、
別の内容の嘆きなのかもしれませんが。
(どちらがいいとは申しません)
先日の韓国大統領の一連の挑発に対して、
それに対する多くの国民は冷静でした。
挑発に対し、冷静な大人の対応を支持しました。
定額給付金、子ども手当、それぞれ世論調査では、
必要ないと答える方々が圧倒的に多い。
政府がくれると言っているものを「いらない」という。
こういう抑制的禁欲的な国民も珍しい。
こんな国民が多数を占め存在する以上、
大局的に見れば、日本の国は今後もまっとうな判断の下、
国が進んでいくに違いありません。
問題は、その成熟した国民に見合った
政治勢力が存在していないこと。
維新の会の急激な支持は、
まさに他の主要政党の不甲斐なさとの相関です。
維新の会そのものへの
確信的な期待とは異なるものであり、
これは民主党政権誕生の際の期待と
同じ文脈だと理解しています。
だから早晩、維新の会も同様の状況に陥ることでしょう。
体は成長したのに、
その体に見合った洋服がない、
というのは何とも不幸なこと。
では。
これを打開するための唯一の方法とは。
これは信頼に足る政治勢力を作ることでしか解決しません。
そんな簡単なことではないでしょう。
でもこの王道を通らない限り、
本質は解決せず、維新の会は姿形を変え、
同じように出ては消え、と繰り返されていくでしょう。
私は政治に身を置く立場であり、
現在の不甲斐ない政治の状況は、
私にも責任の一端があると痛感しています。
新たな信頼に足る政治勢力の誕生。
これを責任をもって
やっていかねばならないと自覚しているところです。
そのためにまずは一人の信頼できる政治家を国政に送り出すこと。
今回、私の地元で、長らくの友人が、
意思を固め、国政に挑戦することを表明しました。
また、他の地域でも、
これまで同志的付き合いをしてきた仲間が、
次々に挑戦に名乗りを上げています。
皆、この間、議論を戦わせ、
真剣にこの国の将来を想い、行動してきた仲間たちです。
彼らは皆、徒手空拳です。
挑戦のための費用すら準備するのが大変な中、
自ら名乗りを上げました。
生活上の犠牲を払ってでも政治を変えたい、
という本気さを感じるわけです。
こうした人たちの存在に、
私は黙っていることができません。
要請されなくとも応援に脚を運びたい、
というのが私の率直な気持ちです。
無所属の私は、その都度、自分が日本にとって、
最も好ましいと思われる候補者や政党を応援してきました。
何より真剣に政治家として役割を果たそう、
という志のみ持参し、本気さを伴った人を送り出したいものです。
今回は、その信頼に足る同志たちの応援を通じて、
日本の政治の改革を進めたいと考えています。
そしてそれは、私自身の選挙を戦うつもりで、
自分自身の戦いとして取り組む所存です。
国民一人ひとりが、真剣に選別し、
それに足る候補者が国会に送り出されれば、
きっと日本の今後に好ましい指導者として
新たな時代をリードしていくことでしょう。
繰り返しますが、
私はこの成熟した国民の存在がある以上、
日本の国は悲観する必要はないと考えています。
今、考えるべきは、いかに一日も早く、
その国民が着るにふさわしい服を用意するかということ。
そこに微力ながら、
私の人生の一端を捧げるまで、と考えています。
返答にはなりませんが、
私の現在の秘めたる気持ちを記しました。
今後とも宜しくお願いいたします。