• 「猫の手貸します」

今ほど「納税者」に重みがある時代はない。
納税者は、社会の向上や安定のために、
納税という形で政府に出資している。
グローバル化による未曽有の経済危機で
税収が激減し、財政は厳しい状況である。
昨今の財政危機で、
国・自治体の土台が揺らいでいる。
一方。
少子高齢化、成熟し複雑多様化する社会。
医療・福祉・介護…それを背景とした行政需要の増大。
支出は、政権が交代しても未だ右肩上がりである。
「収入<支出」
こんな流れがますます強まる中、頼みの綱が、
「借金」という形で
将来の世代から借りてくるしかないとは何とも情けない。
しかし、これが今の私たちの社会ありのままの姿である。
社会を安定的・持続的に運営させていくため、
基盤を納税で支える
納税者の存在はますます重要となることは確実である。
納税意欲をいかに高めるか、
は政治の場に席を置く者の必須事項のはずである。
ところが。
その点が決定的に欠けているのが、
これまでの議会という機関である。
議会には「受益者」と「納税者」の
両方の意向が存在している。
この両者がうまくバランスをしていればいいが、
これまでの政治・行政は、
受益者に偏りが過ぎていた。
これは議会という機関が、
支持者への利益誘導、
という目先の領域を守備範囲とする議員の
集合体なってしまっているからだと思われる。
右肩「下がり」の時代に、
サービスを受け取る受益者の意向が強すぎると、
政治・行政の持続性に難が生じるのは、
現在の国政を見ても一目瞭然だ。
特に今、「時代の要請」として、
納税者の意向を議会に
反映しなければならないと考えている。
こうした現状認識の下、
私は、「納税者主義!!」を自らの行動の根底に置き、
以下の通り市政の改革に臨みたい。

  • 1.納得と理解のための説明を徹底する。
  • 2.税金は必要なことに使用する。
  • 3.負担増の前にすべきことがある。
  • 4.自立支援で納税者となるチャンスを創る。

以下、その趣旨の説明をしたい。

1.納得と理解のための説明を徹底する。

何より最優先は、納得と理解を得る為の説明である。納めた税金がどんなことに使用され、その結果どんな成果が上がったのか。企業が出資者に株主総会で説明を尽くすように、当然に行なわれるべきことである。

①機能する議会への改革―- 脱・水面下政治

議会はそもそも市民の代表機関。自らの持つ権限を駆使して、公開の表舞台で議員同士や、市長(行政)と緊張感ある議論を尽くすべきだ。古い政治の象徴「水面下政治」を退場させるため、機能する議会への改革を継続していく。表舞台において、政策条例や仕分け作業のような試みをしていくべきだ。

②無作為抽出の市民による討議

裁判員制度のような「無作為抽出」という参画の方法は、実際の生活者の意向に最も近いと考えられ、すでに各自治体でも応用されている。すでにさいたま市でも、行財政改革公開審議で市民評価者がこの方法で選ばれ、至極まっとうな建設的意見が寄せられた。これは行革プラン2010に反映されている。これを様々な場面に応用していくべきだ。

③広報のあり方の改革

まだまだ議会・行政と市民との情報格差が大きい。議会不要論もこうした脈絡が原因の一つと考える。議会・行政は機関として、この格差を埋めるべく広報のあり方を改善するべきだ。IT化や費用対効果、受け取り手の意向を踏まえて再検討を要する。

2.税金は必要なことに使用する。

至極当然のことだが、納めた税金が必要なことに使用されているという理解が深まれば、納税の意欲も上がる。反対に無駄遣いは納税意欲を削ぐこととなる。成果に焦点をおいて、常に税による投資先を見直す姿勢が必要だ。

①「今」「将来」必要なことに投資する。

行政のすべきこと、税金を投じて行うべきことを、「今」「将来」に焦点を当てて不断の見直しをしていく。「過去」は大胆に廃止することも必要だ。以下、特に税金の投入が必要と思われる分野を記す。

(1)児童虐待への対策

こんな理不尽なことはない。実の親やその同居者に暴力をふるわれ、もしくは必要な養育を受けられず、命を失ったり、心身に深刻なダメージを受ける子どもたちは後を絶たない。これこそ社会が積極的に取り組むべき課題である。緊急避難策として児童相談所の機能の向上、一時保護所の拡充。子どもの養育環境の改善策として児童養護施設の小規模化、里親の増加を目的とした支援。自立援助ホームなどによる自立支援策を強化し、社会に巣立つことのできる環境を用意すべきだ。

(2)介護環境の整備

「自宅で介護していた妻を絞殺」浦和区で実際に起きた介護殺人事件である。5~10年後、こんな事件が頻発するのでは、と危惧している。今のままなら介護環境は物理的に不足することが確実。人口最多の団塊の世代が、介護世代に突入するからだ。お金を持っていても、介護が受けられない時代が来るかもしれない。在宅介護の基盤を整備し、市独自の手当を支給するなどの方法で、介護の従事者の待遇を改善し、市内に経験年数の長い質の高い従事者が多数存在できるなど環境を整えるべきだ。施設介護は物理的に困難となるため、24時間対応など在宅介護の環境を整え、ケアをする家族らの自己犠牲による負担を取り除くべきだ。

②民間に任せる領域を創造する。

民間企業やNPO活動の活性化、コミュニティビジネスや社会的企業の支援など、多様な民間主体による、質の高い効率的な公共サービスの提供を創造する。税金が投じられる分野は、行政しかできないもの、税金を投じなければならないもの、に限定していく。

③生活文化都市を目指す。

さいたま市は東京化路線とは一線を画するべきだ。公共交通インフラや公園の整備による利便性・快適性の向上や、見沼など環境の保全・活用、市民に根差した文化事業の推進など、生活の豊かさにつながる分野に優先的に投資をしていくべきである。

3.負担増の前にすべきことがある。

消費税増税の議論にも見られたが、負担増を納税者に要請する前にすべきことがある。

①議員・公務員の待遇を見直す。

国民健康保険や上下水道料金、介護保険料などの負担増を決定・立案する立場にある議員や行政職員は、率先して身を削る姿勢が欠かせない。お手盛りとならないよう、第3者による不断の見直しを必要とする。

②更なる議会発「事業仕分け」を実施する。

行政は一度予算がつくと、現状維持を継続する性格がある。選択と集中を進めるため、議会における事業仕分けの更なる実施を目指す(※)。常設の行政改革機関である議会の監視能力を、事業仕分けの手法を活用して強化する。「外部の目」を入れ「公開」で議論する場を創る。※2010年に議会内会派「民主党・無所属の会市議団」で実施した。土井はプロジェクトリーダーを務めた。

③本筋の行政改革を――市長主導行政改革の着実な推進を後押しする。

清水新市長直轄の行財政改革推進本部による本筋の行政改革(行財政改革推進プラン2010策定/外郭団体への自動的天下り廃止/公共施設マネジメント方針など)を着実に進める。

4.自立支援で納税者となるチャンスを創る。

「本当は働いて税金を納めたい」そんな思いの障害者(※)、生活困窮者たちに出会ってきた。リストラや病気、個人の事情で働くことがままならず貧困に陥る人たちがいる。これを放置することで、事態は深刻化し、生活保護を受給せざるを得なくなってしまう。結果、生活保護費は膨大な金額に上る。社会的包容力の考えの下、セーフティネットで受け止めるだけではなく、落ちてもすぐに元に戻るトランポリン型を心掛ける。※「障がい者」という表記もあるが、今のところ旧来の言葉を使用している。

①早い段階でキメ細やかな自立支援策に着手する。

障害者、生活困窮者などに対し、生活保護を支給する段階まで待つのではなく、就労や住宅、教育、職業訓練など、早期の段階でのキメ細やかな自立支援策を行なう。これにより当事者の社会参加の環境を整えるとともに、結果的に生活保護費は軽減でき、納税者が増えることで納税額が増え、財政の持続性も高まる。車イス移動のバリアーフリーのためにパーキングパーミット制度の導入を提案する。

②子ども、若者の貧困問題に対応する。

将来の社会を支えるべき子どもや若者が、貧困に直面するケースが後を絶たない。特に親から引き継ぐ「貧困の連鎖」を解消する必要がある。貧困の芽を摘むべく、教育や就労などにおいて機会の平等を確保するべきだ。

③経済局の活動を強化する。

経済不況が続けば働く場は物理的に少なくなる。就労の場を確保するため、経済の活性化策や、企業誘致、新規起業などを積極的に進めていく。現在、市経済局はすでに企業誘致やテクニカルブランド認証事業など、市政の収入増や雇用確保に貢献する取り組みで実績を上げている。市場に対し行政のできることは限定されるものの、実験的な取り組みも含め、経済局の取り組みを後押しするとともに、こうした取り組みを強化していく。
以上。
私は、組織や団体に依存せず、
余計な行掛かりをつくらない
「無所属」の立場での立候補を心掛け、
フリーハンドの立場を得てきた。
その自分の経歴を前提に、
以上の内容を形にするべく取り組んでいく。
なお、ここに掲載されていないことでも、
随時見直しをして、
より納税者の意向を議会に
適切に反映できるように心掛けたい。